旧くはその地の高台から見える富士山頂には時折龍が現れたと云う。 日中の明るい時間にも関わらず、辺り一帯が真っ暗となり 勢い溢れんばかりに轟く雷鳴と共に姿を現した水神の龍が 富士山頂から一瞬にしてこの地に飛来して上空を覆った。 今まさに大地に雨をもたらそうとした、その時… 日頃の「人々の都合が良い時ばかりの神頼み」が 遂に雷神の逆鱗に触れ、大地に向けて稲妻が放たれた。 雷神は体制を崩し、放たれた一条の稲妻の先端は龍の指に直撃した。 砂塵を撒き散らしながら光脈筋を辿るように舞い戻り やがて富士山頂付近でその姿をくらませた。 以来この地では、困った時にお願いするのではなく 感謝の気持ちを伝え祈るようになったと云う。
雷神様と交わされたという月成の想作異聞奇譚であります。 【2009年7月:記】 「龍の指切り(契り)」 という御伽話がテーマの想作物です。 〜龍指壱(オブジェ)〜 素材:純銀(本体)、テクタイト(爪部)、象牙(指骨) 制作:2006年秋
〜龍指弐(根付)〜 素材:純銀(本体)、テクタイト(爪部) 制作:2010年秋 〜龍指参(指輪)〜 素材:動物の骨(本体)、染色:赤しそ、菊茶葉 制作:2014年秋 【想作メモ:造形、染色】 return
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