■□…‥・眠り般若の原型作り・‥…□■

『眠り般若』というワードを思いついたのは『巻髪般若』よりも前でした。
より女性的な表情で、安らぎに満ちた穏やかな『眠り面』の般若。
しかし、見る角度によって「怒り」から「嘆き」にまで変幻させる般若面は
目と口を閉じてしまうだけで、般若面ではなくなってしまった…。

そこで「穏やかな眠りの面に、般若の隈取りを描いたらどうだろうか」と思いつきました。
般若の特徴であろう表情をラインとして隈取りを想作して描き込むのです。
「全く別のもの」とされる般若面と般若菩薩が繋がった瞬きであります。

より女性(菩薩)としての眠り面を制作する為にも、今回は実験的な試みとして
まずは、その本質的な部分にある「頭骨」の想作から始まりました。
勿論、この原型に頭骨として見える部分は残りません。

次に頭骨のシルエットに合わせて『眠りの面』を想作してゆきます。
判りやすいように、トゥフェイスに想作した段階で撮影してみました。

続いて残り半分の顔を想作してゆきます。
ご覧の通り、この時点で頭骨として見える部分は既にありません。

かなりリアルな耳と髪の毛が追加されました。
髪の毛は長めの前髪を耳に掛けているイメージです。
この時点で穏やかな『眠りの面』の想作が完了しました。

いよいよ『隈取り』の段階になりました。
まずは目の周りから…せっかく綺麗に整えた顔ですが
迷いを捨て、思いきって彫り込みます。

続いて口の周りの部分を想作してゆきます。
図案で黒く塗りつぶされてる部分をラインに置き換えてみました。

この段階になってやはり、図案の髪型の方が良さそうなので
真ん中分けの髪型に変更する事にしました。

目の下にラインを追加し、目尻を更にグッと持ち上げてみました。
額に象徴的なマークも入り『隈取り』彫刻が完了しました。

角を付け、後ろ髪を一部追加しました。
頬の部分を少しふっくらさせる等、微調整を繰り返し
ややうつむくように裏側の高さを調整しました。

シルバーに鋳造し、原型が出来上がりました。
大きなキャスト不良もなく、キレイに仕上がりました。
裏面の「@」のような柄は般若菩薩の梵字を想作したもので
このフック部分をチェーン、革紐、帯締etcが通ります。

〜眠り般若ペンダント完成画像は『こちら』からご覧下さい〜

《くりから般若集》




Copyright quricala, All Rights Reserved.
このページに掲載されている文章、画像等の無断転載・複製は御遠慮願います。